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超大電力ヒーターへの挑戦。ブロック化ヒータ


ブロック化ヒーター構想

科学技術については生物に学ぶ事が多くある。例えば大きな生物を大きいままに造り上げるのは大変だ。そこで生物は多細胞化という手法により巨大化する方法を選択した。基本的には同じ細胞が少し機能を変えて肝細胞になったり脳細胞になったり骨細胞になったりして機能を分化することで巨大生物、例えば人間を作った。

そこでフィンテック社でも、この生物の手法をヒーターの巨大化に応用する事にした。過去、フィンテック社では大型ヒーターの受注に際しては、大きなサイズのヒーターを専用設計するという方法をとってきた。  この飼い主お得意のこじつけだ

しかしこの方法はコストが高い。納期もかかる。それに大きなものは作れない事が多々ある。大きなヒーターを作る前に予備的な縮小サイズの実験機も作らなくてはならない。それに数十kw~数百kw以上のヒーターとなると、社内では納入前試運転すらできない。

例えば長さ2m,電力50kwのハロゲンラインヒータを受注したとしよう。すると問題が山積する。

①そんな大きなランプヒーターは作れない。ランプヒーターは許容電流がせいぜい25A。すると200vでは5kwまでしか作れないことになる。ユーザーが協力的で600vまでOKとしてくれたとしても15kwにしかならない。50kwにははるかに届かない。それに600v超は高電圧扱いになるので、たぶんどこでも×だろう。

②仮に何とか作れたとしても、そんな長いランプヒーターは割れやすく、輸送が容易ではない。われわれの過去の対応としては、自分でクルマで運んでいた。しかし東京,九州くらいなら何とかなってもドイツだとか中国の山奥とかになると「ムリです」となる。

③長いヒーターは反射鏡に金メッキしたくても、メッキ屋さんがやってくれない。多くのメッキ屋さんは500mm~600mm程度が限界なのだ。しかし本当は金メッキしたい。なぜならハロゲンランプの光を最も良く反射するのが金だからだ。

金メッキできない場合はアルミの研磨鏡にするが、反射率が10%ほど落ちる。つまり10%の性能低下であり、エネルギーのロスでもある。省エネ要請に対する最適解ではない。更にアルミ研磨面は経時変化で反射率が徐々に低下していく。だからぜひ金メッキには対応させたい。

そこで下図の様なブロックヒーターを作り、これを必要なだけ並べて長大なヒーターを構成するという方法を考えた。
img_02a 

1台は長さ40mmで1kw~1.2kwの電力容量となる。するとこれを7個並べればミラー長が40mm×7=280mmとなり、総パワーは7kw~8.4kwとなる。これは他社の3倍以上となり、これまで業界で一番ハイパワーだったフィンテック製の5kwに比べても有意に大きい。

しかもこれはいくらでも長くできる。先に例に上げた加熱長さ2m,電力50kw でも全然問題ない。ブロックヒータを50個並べれば出来上がり!そしてそれが例えばドイツからの注文だったとしても、即答に近い形でOKができてしまう。 納期も計算できる。せいぜい30~45日間だろう。もっと小さいサイズならば10日間も可能だ。

納入前の試運転でも、数ブロックごとに通電チェックすれば、ほぼ信頼できる性能確認ができる。これは我々の様に大電力の給電設備を準備できない小さな会社にとって大きなメリットとなる。

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このラインヒーターは上図の様に発光体が連続ではない。その場合、照射ラインは明るさ(温度)分布が発光体に合わせてデコボコになってしまうのではないかと心配される事もあるだろう。しかしその心配はない。現実には照度はならされるので、照度分布にほとんどデコボコはできない。以下はそのシミュレーションである。
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上図はブロックラインヒータを7個使ったヒーターの焦点面の照度分布をシミュレーションしたもの。この様に発光体が連続でなくても、照射面にはそれが直接反映されることはなく、この様になだらかな配光分布になる。

しかしこの様なラインヒータは必ず中央部が高く、周辺部が低い分布になってしまう。これは今回のヒーターに特有の問題ではなく、どの様に作ってもこうなってしまうものなのだ。

なぜなら中央部はその直近の光源以外の光源からも多くの光が届くので照度(温度)が高くなるが,端のほうは直近の光源からの光以外の周囲から来る光の割合が減るので、どうしても照度が低下してしまう。これを解消して均一な照射範囲を増やすには光源の発光分布を、中央部は低く、周辺部を高くするしかない。

この様なランプヒーターは作れなくはないし、実際に採用する場合も多い。コピーマシン用のハロゲンランプなどは、幅広く均一な照度を得るために、発光分布を調節して周辺部を中央部に比べて30%~50%程度高める事は普通に行ってきた。しかし量産品ならともかく、少量生産品にこれを適用するのは面倒で納期が長くなり,コストも高くなる。

しかしこのブロック化ラインヒータならば、個々のヒーターに加える電力をコントロールすることで、均一な加熱領域を広くする事ができる。つまり温度の下がる両端部への供給電力を大きくし、高温になりやすい中央部への供給電力を下げれば、かなりフラット化ができる。

  • img_124583.jpg これは供給電力をコントロールすることでもできるが、両端部のヒーターとしてより大きな電力のランプを選択するという方法もあ る。


この様にブロック化ラインヒーターは工業加熱分野で極めて大きな役割を果たすだろう。もちろんこんなヒーターを欲しがる人は多くはない。しかし全国,全世界レベルで見れば、結構ニーズはあるのだ。我々の様な会社が長く存続していくには、この様な製品を育てていくのが賢い方法だと思っている。

それに何より世の中に貢献できる。この様な製品作りは大企業では対応できないだろう。わが社でなければできない製品,それにより、それを必要とする人たちの役に立ち、それで得られるわが社の明確な存在理由。これが我々のたどり着いた究極の価値観だ。 なーんちゃって

このブロック化はパネルヒータ(面加熱装置)にも応用できる。ブロック化したパネルヒータは70w/cm^2という大きな電力密度(1200℃以上に達する)でいくらでも大きな面積のものを作る事ができる。この方法ならば例え1000kwのヒーターが欲しいと言われても「OKです。納期は2ヶ月です」と即答できてしまうほどだ。
 1万kwだったらどうだー  無理かも  1000kwクラスのパネルヒータは1.3m×1.3mくらいなものだ。たいして重くもない。これを電車(新幹線含む)の先頭に付ける。すると瞬間的に雪を溶かしながら走行できるかもしれん。

しかし、ブロック化ラインヒータについては従来のラインヒータを全て置き換える存在ではない。小さなサイズ(長さ約500mm,電力5kw以内)の物は従来構造の方がシンプルで故障も少なく、低コストだ。ブロック化ヒータは従来方式では対応できなかったニーズを補完する存在である。ただしパネルヒータについては全て置き換えてしまうかもしれない。というかパネルヒータはパラメータが多すぎて標準品と言える商品が存在していなかったためだ。

 ゼロ次元ヒータ→スポットヒータ,1次元ヒータ→ラインヒータ,2次元ヒータ→パネルヒータ。すると3次元ヒータとは何だ?4次元ヒータとは? タイマー付きの分散ヒータちゃうか。時間軸を制御してる 







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